-ベトナム現地レポート-
「ベトナムのEVタクシー」
ベトナム政府は2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すことを表明しており、自動車に関しては電気自動車(EV)へのシフトを対策として掲げています。その一方でEVシフトへの優遇策が限定的であったり、EVの充電規格が定まっていないなど、ベトナムのEV市場には課題が多くあります。今回は、EVインフラが整っていないベトナムで孤軍奮闘するEVメーカー、ビンファストのタクシー事業について、実際に利用した様子も交えてお伝えします。
- ビングループのタクシー事業
ビングループ傘下のグリーンアンドスマートモビリティ(GSM)は今年の4月よりタクシー事業を、8月にはバイクタクシーのサービスを開始しました。利用できる省は徐々に増えており、年内に27省市まで拡大する方針を示しています。さらに

<VinFastのVFe34>
9月からは首都ハノイおよび南部ホーチミン市で子供の学校への送迎を手掛けるなど、新たなサービスにも着手しています。
ベトナム国内のEV市場は成長段階であり、現状で国産EVメーカーはビンファストのみです。グループ企業でタクシー事業を行うことで広告効果もあり、他のタクシー事業者からもビンファストのEV車を受注しています。
- 実際に利用してみて
ホーチミン市内でも多く見られるようになったことから、筆者も実際に利用してみました。タクシーを呼ぶ際には他のタクシー会社と同様、アプリでの配車や直接電話を掛けることで自分の元に来てくれます。料金については他のタクシー会社と大きな違いは見られませんでした。走行するとEV車の特色でもあるエンジン音は当然静かで、車内もきれいに整頓されていました。気になった充電に関してタクシードライバーの方に話を伺うと、充電スポットは郊外にもあり、そこまで不自由しないとのことでした。また以前はビングループが運営する不動産の地下駐車場などにしか充電スポットがなかったのですが、最近ではガソリンスタンドにも導入されているようです。2時間弱で充電が完了すると、一回の充電で300キロ程度走ることができ、かかる費用(ガソリン代・充電代)も6分の1程度に抑えられるとのことでした。
- 終わりに
ビンファストの国内販売台数は伸び悩み、輸出先のアメリカでは早々にリコールが発生するなど苦境に立たされている側面もあります。しかし、ビングループの創業者がEV事業に乗り出した理由の一つとして「ベトナムへの貢献」を上げており、温室効果ガス削減およびベトナムに対し少しでも貢献できるよう、積極的に利用していきたいと思います。

<車内モニター>

<アプリのホーム画面>
以上
KIRABOSHI BUSINESS CONSULTING VIETNAM CO.,LTD.
岩田