第33回「ベトナムにおけるキャッシュレス決済」

ベトナム駐在員レポート

-ベトナム現地レポート-

ベトナムにおけるキャッシュレス決済

2020年にボストン・コンサルティング・グループが発表したレポートによると、ベトナムにおける銀行口座の保有率は40%、クレジットカードの保有率は11%と、周辺諸国と比較すると低水準となっています。また、依然として市場や個人経営の飲食店などでは現金決済が主流となっています。その一方で、コロナ禍を機に各国でキャッシュレス決済が広がりを見せたのと同様に、ベトナムでもその流れは勢いを増しています。今回はベトナムのキャッシュレス決済事情についてお伝えします。

 

  • 国を挙げての取り組み

2021年10月に首相決定1813号(1813/QD-TTg)にて「キャッシュレス決済開発スキーム2021-2025」が承認されました。この決定では2025年までに個人・企業のキャッシュレス決済の利用率を40%以上とすることや、都市部の教育機関、医療機関の支払をキャッシュレス化することなど、6分野の目標を示しています。中央銀行であるベトナム国家銀行も40社以上にデジタル決済事業者の認可を与えており、国を挙げてキャッシュレス化を推進しています。

また、銀行口座やクレジットカードの保有率が低い一方で、スマートフォンの所有率は約96%と非常に高く、キャッシュレスが浸透する土壌は整っていると言えます。

 

  • サービスの具体例

ここからは主要な決済サービスを紹介していきたいと思います。

【MoMo】

ベトナム最大のキャッシュレス決済サービスのMoMoは2009年に営業ライセンスを取得しており、かなり早い段階からサービスの提供を行っています。3,000万人以上のユーザーがおり、140,000箇所以上の決済対応ポイントがあります。また連携するパートナー企業は50,000社以上にのぼり、コンビニやスーパーマーケット、飲食店、映画館などで簡単に利用できます。

【ZaloPay】

ベトナム発のモバイルメッセージアプリのZaloによる電子マネーアプリです。コンビニ等での支払いのほか、携帯電話をはじめとした各種代金、ECサイトの決済などの利用も可能です。

【Moca】

配車サービス等を手掛けるGrab社と提携しており、特に公共交通機関での決済を売りにしているアプリです。Grabやタクシー会社への支払いやコンビニ、公共料金などに利用することができます。

 

 

 

  • 終わりに

ベトナムのキャッシュレス決済サービス盛り上がりを見せており、みずほ銀行や三井住友銀行も決済サービス事業者に出資するなど、日本からの注目も高まっています。また、BNPL(Buy Now Pay Later)の分野についても発展の可能性を秘めており、今後の更なる展開に注目したいと思います。

 

 

以上

 KIRABOSHI BUSINESS CONSULTING VIETNAM CO.,LTD.

岩田