第16回「社会的隔離を再延長したホーチミン市(南部)のいま」

ベトナム駐在員レポート

新型コロナウイルスの感染が世界的に再拡大するいま、ベトナムにおいても感染拡大に歯止めがかからず、コロナ感染の流行地となったホーチミン市は、7月9日から首相指示に沿った社会的隔離措置を適用していますが、8月15日には首相指示16号(後述)に基づく厳しい制限措置を9月15日まで延長することを決めました。

多くの企業が在宅勤務や工場隔離(Q&A参照)により事業環境が変わるとともに、人々の生活環境にも厳しい規制が継続されています。外出制限もあるなかですので街中の様子は限定的とはなりますが、後ほど写真も交えて近況をお伝え致します。

※特段の注記が無い場合を除き、記載内容は執筆時点のものとなります。実際には、最新の情報をご自身で確認頂きますようお願い致します。

 

  • ベトナムの新型コロナウイルス感染状況とホーチミン市の対策

ベトナム保健省によると、新型コロナウイルスの市中感染者数が8月19日夕時点で、1日の新規感染者として初めて全国で1万人を超え、4月下旬以降の第4波の累計は全国で約30万8千人と30万人の大台も突破しました。第4波の累計は、主要三都市となる南部ホーチミン市16万4,342人、中部ダナン市2,691人、北部ハノイ市2,442人とホーチミン市が突出して感染者が多い状況となっています。

 このような状態から、ホーチミン市では「誰もがその場に留まる」という原則のもと、日中に事業活動が出来る業種を特定するとともに、午後6時以降は商店やビジネス拠点の活動を停止することとしています。また、市民に対しては不要不急の外出を制限し、公共交通機関をストップさせるなど移動も制限しています。

伝統的なバイクタクシーや配車アプリによる二輪車での旅客輸送サービスも一時停止しており、都市鉄道がない同市での唯一の移動手段となるタクシーやバイクタクシーも利用出来ず、加えて、飲食店の持ち帰り及びデリバリーサービスも停止しています。

対策の実効性を有効とするため、公共の場でのマスク着用やソーシャルディスタンスなど個人に求められる対策の違反、不要不急の外出に対しての罰金を科すと規定されています。

Table

  • ベトナムの経済動向

ベトナム統計総局(GSO)の発表によると、2021年第2四半期の国内総生産(GDP)実質成長率は6.61%となりました(上半期(1~6月)の成長率は5.64%)。新型コロナウイルス第4波の拡大により、企業の生産活動への影響が懸念されたものの、高成長を維持しました。なお、政府は2021年通年のGDP成長率を6%~6.5%を目指しています。

ただし、現在、感染の中心になっているホーチミン市をはじめ、首都のハノイ、中部の中核都市ダナンなど全国各地で、不要不急の外出禁止を含めた厳格な制限措置を講じており、7月の小売売上高は前年水準を2割近く下回り、鉱工業生産は2.2%の低い伸びにとどまっています。

また、製造業の景況感を表す製造業購買担当者景況指数(PMI)は6月に大きく低下した後、7月も好不況の節目となる50を割り込む水準になり、企業心理の冷え込みが鮮明となっています。

 

  • ホーチミン市の街並み

一度でもベトナムに訪れたことがある方ならばお分かりのことと思いますが、日本とは比べ物にならないほどの車両から発せられるクラクションの音も静かになり、当たり前に歩道を走っていたバイクも今は何処にというほど、静かな街並みと歩行時の危険は感じない状況となっています。商店はシャッターが下ろされ、賑やかだった街はコロナが明けるのを待ちわびています。

封鎖区域 -通行不可-

封鎖区域
-通行不可-

観光名所でもある ベンタイン市場 -全店舗閉鎖-

観光名所でもある
ベンタイン市場
-全店舗閉鎖-

(以下、コロナ感染拡大前の様子)

2019年11月の街中

2019年11月の街中

2018年4月の ベンタイン市場の中

2018年4月の
ベンタイン市場の中

  • 最後に

依然として収束の兆しが見えないものの、ワクチン接種による制限緩和が徐々に広がってきています。日本からベトナムへの入国の際、入国後、14日間、隔離施設(ホテル)に滞在し、隔離終了後14日間、自宅・居住地での健康観察、外出の差し控え等を行うこととなっており、計1ヵ月は身動きが取れない規制となっています。しかし、コロナワクチン接種証明書(※)があれば集中隔離およびホテルでの隔離期間を7日間に短縮(8月4日付保健省発行オフィシャルレター及び外務省領事局からのオフィシャルレター)されるとしました。これにより、集中隔離期間を7日間、その後の健康観察期間を7日間の計2週間へ短縮されました。

※8月13日時点で、ベトナムでは日本を含む19ヵ国のコロナワクチン接種証明書は領事合法化、領事認証をせずに使用できるとされています。

ワクチン接種率が低いとされるベトナム国内でも、ワクチン接種を急速に進めるとともに厳しい規制を行い感染拡大の封じ込めを行っております(参考:ベトナムビジネスQ&A第15回「ベトナムのワクチン接種状況」)。

渡航困難な状況のなか、現地の状況や情報を気になされている方も多いことかと思いますので、お困りのことがございましたら、現地に拠点のある弊社までお気軽にお問合せ頂ければと存じます。

 

以上

 KIRABOSHI BUSINESS CONSULTING VIETNAM CO.,LTD.

 山下