第32回「外国契約者税(FCT)について」

ベトナムビジネスQ&A

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32回「外国契約者税(FCT)について」

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<質問>

ベトナム特有の税金に、外国契約者税というものがあると聞きました。どのようなものなのでしょうか?

 

<回答>

外国契約者税(FCT)は、ベトナム側からみた外国法人・個人等(外国契約者)が、ベトナム企業や個人に対して一定の「サービス」を提供した場合に課される税金です。FCTの負担者は外国契約者となりますが、実務的には契約代金等を外国契約者に支払う際に、ベトナム側の契約者がFCTを源泉徴収し、申告納税義務を履行するケースが多くなっています。外国契約者が申告・納税をするケースは①ベトナム内に恒久的施設を有している又はベトナム居住者である、②外国契約者としての期間が183日以上、③VAS(ベトナム会計基準)に基づいて会計処理を行っている、という全3つの条件を満たす場合となります。外国契約者のほとんどがVASを適用していないため、ベトナム側が納税義務者となります。

FCTは付加価値税(VAT)と所得税(法人または個人)の部分で構成されています。サービスの内容ごとに、VAT部分の税率及び計算方法と、所得税部分の税率及び計算方法が規定されており、具体的な取引の内容に応じていずれかまたは双方が課税されることがあります。

 

一般的な納税方式である源泉徴収方式で適用される利率は下記の通りです。なお、サービス費用の支払発生後、10日以内に申告・納税する必要があります。

取引の種類 みなし税率
付加価値税 法人所得税
サービスが付随する物品販売 1%
サービス一般、機械設備のリース、保険サービス 5% 5%
レストラン・ホテル・カジノの管理サービス 5% 10%
デリバティブ取引 2%
航空機・航空機エンジン・航空機部品・船舶のリース 5% 2%
建設・据付(資材・機械設備の供給を伴わない) 5% 2%
建設・据付(資材・機械設備の供給を伴う)、運輸サービス 3% 2%
有価証券譲渡、海外への再保険、再保険手数料 0.1%
利子 5%
ロイヤルティー 10%
その他の事業 2% 2%

 

今回は外国契約者税の概要についてお伝えしました。上記以外にも様々な論点があり、複雑な税制となっています。ご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡ください。

以上

 KIRABOSHI BUSINESS CONSULTING VIETNAM CO.,LTD.

 岩田