第3回「ベトナムの労働法改正について」

ベトナムビジネスQ&A

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<質問>
ベトナムで現地法人を運営している者ですが、ベトナムの労働法が今後改正されると聞きました。具体的にどのような点が変更になるのか教えて下さい。

<回答>

2019年11月20日にベトナムの国会において、新たな労働法が採択されました。施行は2021年1月1日の予定です。新たな労働法では多くの部分が改定されていますが、本レポートでは主な変更点を以下のとおり取り上げます。

旧労働法 新労働法
●労働契約期間の変更
労働契約は「①無期限の労働契約」、「②12ヶ月から36ヶ月までの有期労働契約」、「③季節的業務または特定業務を行うための12ヶ月未満の有期労働契約」の3種類 労働契約は「①無期限の労働契約」または「②36ヶ月までの有期労働契約」の2種類

⇒②において12カ月の最低雇用期間が削除されたことから、12ヶ月未満の短期労働契約を締結することが可能に。

●管理職の試用期間の追加
試用期間

・短期大学卒業以上:60日以内

・職業訓練学校・専門学校卒業以上:30日以内

・その他(ワーカー等):6営業日以内

試用期間

管理職:180 日以内

・短期大学卒業以上:60日以内

・職業訓練学校・専門学校卒業以上:30日以内

・その他(ワーカー等):6営業日以内

●残業時間の変更
・残業時間は1カ月に30時間まで。

(1年間の残業時間の上限は200時間まで<例外的に300時間まで認められる>)

 

・残業時間300 時間/年が認められる場合

①  輸出用の繊維製品、衣料品、革製品、靴製品および農林水産品の生産ならびに加工業

②  発電、電力供給、通信、石油精製、給排水工事業

③  その他緊急で遅延できない作業を行う場合

 

 

 

残業時間は1カ月に40時間まで。

(1年間の残業時間の上限は200時間まで<例外的に300時間まで認められる>)

⇒年間の残業時間の上限は変更なし。

・残業時間300 時間/年が認められる場合

①  輸出用の繊維製品、衣料品、革製品、靴製品、農林水産品、電気製品、電子製品、塩製品の製造および加工業

②  発電、電力供給、通信、石油精製、給排水工事業

③  高度な専門性または技術が求められる仕事であり、労働市場が十分かつ速やかに労働者を供給できない業務

④  遅延できない緊急の業務、または気候、天災、火災、戦争、電力不足、原材料不足若しくは生産ラインの技術的問題による予期せぬ原因によって生じた状況を解決するための業務

⑤  政府が定めるその他の場合

300時間の残業時間が認められる際の条件の追加

●定年年齢の引き上げ
定年年齢

・男性:60 歳

・女性:55 歳

定年年齢

男性:62歳

女性:60 歳

●ベトナム労働総同盟からの独立
労働組合を設立してない企業は就業規則・賃金表・賃金テーブル・賞与規程、または懲戒処分を行う際に各企業の労働組合を統括しているベトナム政府管轄のベトナム労働総同盟に協議・立ち会いを求めなければならない。

(ベトナム労働総同盟との協議・立ち会いにおけるスケジュール調整・各種手続きの承認までに時間を要する場合あり)

労働組合を設立してない企業は就業規則・賃金表・賃金テーブル・賞与規程、または懲戒処分を行う際に各企業の労働組合を統括しているベトナム政府管轄のベトナム労働総同盟との協議または立会いが不要。

ベトナム労働総同盟との協議・立ち会いが不要となり、スケジュール調整・各種手続きの承認が簡素化。

 

以上が、今般の労働法改正における主要論点でございました。今後、上記法令がどのように運用されていくのかが注目されます。労働法改正についてご質問ありましたら、お気軽に弊社までお問合せ下さい。

 

以上
Kiraboshi Business Consulting Vietnam Co.,Ltd. 福田