第5回「法定代表者の委任について」

ベトナムビジネスQ&A

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<質問>

私は現地法人の法定代表者を務めていますがCOVID-19の影響に伴う渡航制限もあり、現地駐在出来ないため現地社員にその権利・職務を委任しています。長期間にわたり委任せざるを得ない状況であるため、同委任行為について改めて整理したく、法定代表者の委任について教えて下さい。

 

<回答>

COVID-19感染拡大に伴い、急遽帰国を余儀なくされ、未だ戻ってくる見通しが立たない方もいらしゃることか思います。現地レポートでもお伝えしたように、一部の方は戻ってこられているのも事実ですが、諸手続きも煩雑であり、従前のように自由な行き来ができるようになるには今暫く時間を要するものと思われます。

そこで、2020年6月に可決された改正企業法(法律59/2020/QH14‗2021年1月施行)に基づき、ベトナムにおける法定代表者の委任行為についてご案内します。

  • 企業の法定代表者とは

企業の法定代表者とは、企業の取引から発生する各権利を行使し、義務を履行する際に企業を代表し、仲裁組織、裁判所において、民事事件解決請求者、原告、被告、関連する権利、義務を有する者として企業を代表し、法令の規定に基づくその他の権利、義務について企業を代表する個人(第12条1項)。と定義されています。

また、同条3項には、企業は、少なくとも一人のベトナムに居住する法定代表者を常時確保しなければならない。とされており、法定代表者は常駐義務があるとされています(法定代表者が複数名の場合は何れか一人)。

法定代表者が30日を過ぎてベトナムを不在とする際に他人に委任しない場合には、会社所有者等は、その他の者を法定代表者にしなければならない(同条5項)とされています。

つまり、法定代表者が30日以上ベトナムを離れる場合には、他者に委任する若しくは法定代表者を変更しなければならないということになります。これは、COVID-19に関係なく、出張等における長期離任時にも留意が必要です。

代表者が常駐しない、あるいは不在の際、他者に委任しない場合、現地法人に対して1,000万~1,500万ベトナムドン(約45,000円~67,5000円)の罰金が課せられます(政令50/2016/ND-CP)。

  • 委任とは

委任代表者とは、書面による委任を受け、会社所有者、社員、株主の名義で法律の規定に基づく権利を行使し、義務を履行する個人(第14条1項)と定義されています。

委任代表者選定文書は、会社に通知する必要があり、会社が文書を受領した日以降にのみ会社に対する効力を有し、委任代表者選定文書は以下の主要な各内容を含まなければならない(同条4項)とされています。

  • 所有者、社員、株主の名称、企業コード、本店の住所
  • 委任代表者の数および各委任代表者に対応する株式、持ち分の保有割合
  • 委任代表者のそれぞれの氏名、連絡住所、国籍、個人の法的書類の番号
  • 委任代表者それぞれに対応する委任期限(委任代表者となる開始日を明記)
  • 所有者、社員、株主の法定代表者の氏名、署名及び委任代表者の氏名、署名

 

 

以上

(1ベトナムドン=0.0045円)

Kiraboshi Business Consulting Vietnam Co.,Ltd.

山下