第15回「ベトナムの付加価値税について」

ベトナムビジネスQ&A

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<質問>

今、ベトナムへの展開を検討しているのですが、付加価値税というものがあると聞きました。具体的に付加価値税とはどのような税金なのでしょうか?

 

<回答>

1. 概要

付加価値税(以下、「VAT(Value Added Tax)」)は特定の免税品目を除く全ての製造、商業、輸入及びサービスの提供に対して適用される税制で、日本における消費税に相当する間接税(税金を負担する者≠納税義務者)です。税金の負担者は最終消費者などで、納税義務者は課税対象物品やサービスの販売・提供を行う事業者、及び物品の輸入者であり、法人か個人かを問いません。また、多くの企業が公式インボイスから納税額を計算する「控除方式(インボイス方式)」を採っています。そのため公式インボイスは非常に重要な帳票となります。

 

2. 税率

標準税率は10%で、それ以外にもVAT税法上の取り扱いとして0%取引、5%取引、非課税取引があります。0%取引と非課税取引について、前者はあくまで課税対象となる取引であり、後者はそもそもVATの課税対象ではなく、0%取引の際には場合によっては仕入時のVAT還付適用が受けられるといった違いがあります。

 

3. 納付税額

納税額の計算方法としては控除方式(インボイス方式)または直接方式の二つがあり、概要でも述べた通り、多くの納税者が採用しているのは控除方式です。

a. 控除方式

納付税額:売上VAT-控除可能な仕入VAT

売上VAT…販売・サービス等の販売価格に対して課される税金で、インボイスに記載されている金額を合計した金額

仕入VAT…課税対象となる取引及びサービスの対価を支払う際のインボイスに記載されているVATの合計額

b. 直接方式

納付税額:販売・サービス等の付加価値額合計×税率

付加価値額…売上価格から仕入れ価格を引いた金額

 

4. 申告納付および還付

VATの申告納付は原則として月次申告ですが、設立後12か月未満の企業もしくは、設立後12か月経過した企業で前年度の売上が500億ドン(約2億3,500万円)未満の場合は四半期での申告・納付となります。

また原則としてベトナムのVATには年度確定申告の制度がないため、仕入VATが売上VATを超過している場合には、当該超過額を翌期に繰り越すことが可能です。さらに一定の条件を満たすことで還付を受けることもできます。ただし、VAT還付は条件が厳しくなっており、初回の還付時には必ず税務調査が行われ、必ずしも法令通りの還付が行われるわけではない点にも留意が必要です。

 

  • 最後に

今回は付加価値税の概要をお伝えしました。各種納税等は会社の資金繰りにも影響する重要な事項ですので、会社運営をスムーズに行うためにも年間スケジュールをしっかりと把握しておくことが重要となります。

 

以上

 KIRABOSHI BUSINESS CONSULTING VIETNAM CO.,LTD.

 山下